300958 / あき
国木田独歩 春の鳥落葉を踏んで
頂に達し、
例の天主台の
下までゆくと、
せきせきとして
満山声なきうちに、
何者か優しい声で
歌うのが聞こえます
あーあー
あーあー
あーあー
あーあー
見ると天主台の
石垣の角に、
六蔵が馬乗りに
またがって、
両足をふらふら
動かしながら、
目を遠く放って
俗歌を歌っているのでした。
空の色、日の光、
古い城あと、
そして少年、
まるで絵です。
少年は天使です。
この時私の目には、
六蔵が白痴とはどうしても見えませんでした。
白痴と天使、なんという哀れな対照でしょう。
しかし私はこの時、
白痴ながらも少年はやはり自然の子であるかと、
つくづく感じました。
しかし私はこの時、
白痴ながらも少年はやはり自然の子であるかと、
つくづく感じました。
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