Ver. 3.25 (Aug 2024-) orpheus2024a |
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2006年10月に
東京大学 大学院情報理工学系研究科 システム情報学専攻 第一研究室
で自動作曲アルゴリズムの研究開発を開始して以来、自動作曲システム Orpheus 開発はすでに13年以上経過しています。この間に、web 公開、研究発表会での発表と学会受賞(2件)、数十回のTV報道、ラジオ、多数の新聞や雑誌の報道解説がありました。2011年12月29日に公開した Ver 3 は、今も開発が続けられています。
当初からの累積作曲数(同じ歌詞も含めて)は50万曲を超え、
2015年5月6日から取り始めた統計では、アクセスが20万回を超えました。 |
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開発の背景 (嵯峨山の個人的背景) |
背景 以下は、本技術開発以前の嵯峨山の背景です。突然に技術が生まれたわけではないのです。 【音楽背景】
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構想と人手シミュレーション (嵯峨山) |
研究構想段階(Ver -1) そもそもこの研究はどのように始まったか、という質問をよく受けるので、お答えします。 2006年5月から嵯峨山が自動作曲構想・アルゴリズム立案・人手で検討。 和声進行に従って、日本語韻律を守って旋律を生成するアルゴリズムを構想。 まずはそのアルゴリズムを人手で実行して、十分な作曲結果が得られるかを検証し、予想したよりうまく行きそうとの見込みを立て、最適解探索は人手に代わって動的計画法で自動計算できる見込みを立て、それは卒論レベルの教育的課題に好適と考えて、半年後に始まる卒論生配属時に学生にテーマ提示することにした。 以下は、構想中の自動作曲法の人手シミュレーション(機械的に手順を実行)で作成した検証曲の例。各曲とも歌詞のイントネーションに従い、一定のリズムで、和声進行に合わせて旋律音が選ばれている。 ●歌詞:「吾輩は猫である。名前はまだない。どこで生まれたか、とんと見当がつかぬ。」 ●韻律:/わ^がはいわ/ね_こで^あ_る/な^まえわ/ま_だ/な_い /ど_こで/う^まれた_か/と^んと/け^んと_おが/つ^か_ぬ/
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4年生卒業研究 (中妻:4ヶ月) |
Ver 0 東京大学工学部計数工学科の卒業研究(システム情報工学コース4年生は10月から4ヶ月)のために、その半年前から嵯峨山(教授)が構想していた日本語テキストの韻律からの自動作曲の原理とアルゴリズムを、10月に配属された4年生(中妻)が理解・実装・実験し、自動作曲動作を確認した。当初はデータは入力も出力もすべて数字であり、数字を手書きで楽譜に書き換えていた。周囲からは「楽譜だけでは分からない」「音で聴きたい」と評され、次のステップに繋がった。 Orpheus Ver 0.0 開発者 (2006.10-2007.3)
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読んでみるとOrpheus の原理とあまりにも近いので驚きました。時期的には、Orpheus よりドラえもんの方が30年以上前なのに、原理までそっくりの「ひみつ道具」を考えた藤子・F・不二雄先生は、すごい未来予測能力をお持ちですね。似ている点を並べてみると、
比較項目 | ドラえもん | Orpheus |
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対象者 | ジャイアンはシンガーソングライターを目指していて、「作詞はともかく、曲の方がなかなか作れないのだ。」と言って、悩んでいる。そういう人は多いのではないか? | Orpheus も、作詞はできるが曲を作るのは大変、というユーザを想定して、歌詞さえあれば自動で作曲する技術を開発した。 |
入力 | ドラえもんが取り出した「メロディーお玉」は、マイクからの音声で歌詞入力する。 | Orpheus はキーボードから入力するが、開発者(嵯峨山)は長らく音声認識の研究を行っていて、音声認識に関しては数百編の論文があり、これは自動作曲の論文数よりはるかに多いくらいで、「メロディーお玉」のように喋って入力することも技術的には可能だ。(むしろその方が本来の専門。) |
作曲の原理 | ドラえもんが取り出した「メロディーお玉」は、入力した歌詞に従ってお玉(音符)が自動的に整列するのだが、 | Orpheus の作曲原理も、音符の並びをグニャグニャと変化させて、指定された歌詞の抑揚と和声(コード進行)とリズムに最も合うように整列させるのだ。(専門的には、隠れマルコフモデルの確率最大経路をViterbi探索する。)作曲はたいてい1秒以内で終わる。 |
楽譜出力 | ドラえもんが「メロディーお玉」の作曲結果をジャイアンに見せたら、ジャイアンは「知ってるくせに! おれは楽譜を読めないんだっ!」と怒り出す。 | Orpheus も、もともとは自動作曲が目的で、楽譜を出力した。しかし、それではよくわからないという意見があって、音も(おまけで)合成するようにしたのだ。 |
自動演奏 | ドラえもんは、「タイムふろしき」を掛けて急いでお玉をカエルに育て、作曲結果を歌わせる。 | Orpheus も、十秒くらいかけて歌声や伴奏音を合成する。これでも人が楽譜を見て実際に歌うより速い。タイムふろしきの効果かな。 |
作曲条件設定 | ジャイアンは気に入って「これでどんな曲でも作れるのか?」と尋ねると、ドラえもんは「ダイヤルを合わせれば、楽しい曲、悲しい曲、勇ましい曲、何でもお好みしだい。」と答える。 | Orpheus では、ダイヤルでないが、マウスで作曲条件メニューでいくつかの項目を選択クリックすれば、お好み次第の曲が作れる。 |
最終目的 | ジャイアンは「メロディーお玉」を使って100曲作り、リサイタルを催すが、 | Orpheus も人に歌ってもらう作曲マシンとして作られた。合成音声はあくまで楽譜より分かりやすくするための仮の音源で、決して Orpheus の実力ではないのだ。 |
■ Orpheus の動作原理解説(この部分は従来の ver 2.1 の Oprheus 解説を流用。今も基本は変わらない)解 説
1.言葉と歌詞のイントネーション |