651844 / 詩:立原道造/作曲:ねことコンパス
やがて秋・・・〔前奏〕
やがて秋が来るだらう
夕ぐれが親しげに僕らにはなしかける
樹木が老いた人たちの身ぶりのやうに
あらはなかげをくらく夜の方に投げ
すべてが不確かにゆらいでゐる
かへってしずかなあさい吐息にやうに
(昨日でないばかりにそれは明日)と
僕らのおもひはささやきかはすであらう
秋がかうしてかへって来た
さうして秋がまたたたずむと
ゆるしを乞う人のやうに
やがて忘れなかったことのかたみに
しかしかたみなく過ぎて行くであらう
秋はさうして
ふたたびある夕ぐれに
〔後奏〕
|
■コメント追記は登録者のみ |