628358 / 詩:立原道造 作曲:ねことコンパス
うたうようにゆっくりと日なたには、いつものように
しずかな影がこまかい模様を
あんでいた。淡く
しかしはっきりと
花びらと、枝と、梢と
何もかも、すべては、そして
かなしげに、うつら
うつらしていた。
私は待ち受けていた
一心に私は見つめて
いた、山の向こうの
また、山の向こうの
空をみたしている
きらきらする青を
ながされて行く
浮雲を、煙を
古い小川はまたうたっていた
小鳥もたのしくさえずっていた
きく人もいないのに、風と風とは
ささやきかわしてた、かすかな言葉を
ああ、不思議な四月よ
私は心も
はりさけるほど
待ちうけていた
私の日々を
優しくするひとを
私は見つめていた
風と影とを
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