299409 / 我那覇響
イチローにはなれるかもしれない。あれだけ細くて、誰よりも
活躍できている。
おれは小さい体だからと、
どこかであきらめてる。
こんなんじゃ、ダメだって、
勇気をもらった。
今のおれにはそんなこと、
絶対に言えないけど、
何も知らない中学生だったおれは、
イチローにできるんだから
おれにもできるって、思った。
見た目だけの判断
だったのかもしれない。
あんなに体の細いイチローにできる。
体のでかいピッチャーを倒せる。
ヒットや ホームランをいっぱい打てる。
まるで、スーパーマンじゃないか。
昼には普通のサラリーマンなのに、
いきなり夜はとんでもなく強い。
イチロー選手を見たとき、
そう思った。
こんな細い体で打てるわけがないのに、
なぜ誰よりも打てているんだと、
イチロー選手を見たとき、
本当にそう思った。
おれもスーパーマンになりたい。
おれ、体ちっちゃいけど、
イチローみたいに
なれるかもしれない。
おれの脳みそがそう言ってた。
清原みたいにはなれない。
でも、イチローには
なれるかもしれない。
おれの脳みそがそう決めたんだ。
イチロー選手が打てるんだから、
おれも打てるかもしれない。
本気で思ったのは
おれだけじゃないと思う。
おれはそういういっぱいいた
野球少年のうちの一人だった。
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